急性広範腸壊死

症状

急性広範腸壊死(きゅうせいこうはんちょうえし)では腸れん縮及び組織阻血に起因した継続性を有する締め付けられるような腹痛を急激に生じます。これが疼痛とよく似た症状に移行していきます。移行した後は腹部における圧痛も軽くなります。検査では便潜血、白血球の増加が認められ、血性腹水が確認されれば、本症の可能性が高くなります。尚、急性膵炎、急性虫垂炎、胃及び十二指腸潰瘍穿孔、腸閉塞、胆嚢穿孔などとの識別が必要です。

原因

非閉塞型と閉塞型に分類され、急性広範腸壊死においてはその大半が前者となります。小腸壊死は腸間膜血管の非閉塞性及び閉塞性の血管障害から生じます。これによって血漿の漏れが腸壁及び腸管腔において見られ、動脈圧の低下と共に循環血液量の減少が生じます。こちらは脱水を原因としています。更に全身において組織灌流低下を示しますが、これは血液粘稠の比率を上昇させようとする作用に起因します。

治療法

血栓除去術及び腸管切除による治療方法が行われますが、なるべく早く治療法を確定するため、腹腔穿刺なども望まれます。手術が成功する可能性は、症状が示されてから手術によって壊死腸管切除或いは血行再建にかかる時間に委ねられていてなるべく早く対処する必要性があります。急性広範腸壊死では手術時期が重要となっており、手術を行うまでは電解質を含有する輸液によって消失した体液を補います。また適切とされる範囲内で抗性物質も用いられますが、これは腸内細菌に起因する組織破壊を防ぐ意味でも重要な措置となります。