盲腸炎/虫垂炎

症状

盲腸炎(もうちょうえん)の初期では腹部に突然痛みを発し、通常数時間で右下腹部にその痛みが移動していきます。また発熱や吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状も訴えます。更に背中部に虫垂の先っぽが付着してしまい、ここで炎症が悪化すると、歩いている際に強い痛みを右下腹部に感じたり、腰痛を併発するケースも見られます。その他、虫垂炎に起因して周りの組織へ影響を与えることで吐き気及び嘔吐といった症状を示しますが、この場合、炎症の程度も強くなっていると推測されます。診断は、超音波やCT、腹部単純X線、採血などによって行われます。白血球は発病初期段階で増加傾向にあります。尚、卵巣のう腫茎捻転や子宮外妊娠破裂、右尿管結石、急性腸炎、結腸憩室炎などにおいても右下腹部に痛みを生じます。このため、鑑別する必要性があります。

原因

詳細は解明されていませんが、虫垂内腔が先天性に起因する形状の異常、異物、ウイルス感染、細菌感染などによって詰まり、加えて腸内常在菌の感染が原因ではないかと指摘されています。また暴飲暴食及び疲れなどに起因して発病することもあると指摘されていて、生活環境にも左右されているのではないかと考えられています。盲腸から突出した数センチの臓器が虫垂であり、その形状は細長くなっています。この臓器は特に機能していないとも言われており、手術によって切除しても特に問題はないと言われています。盲腸炎は炎症をこの虫垂に合併させた病態を言います。本症は若年層に多く見られる疾患ですが、乳児にはあまり見られません。尚、盲腸炎は虫垂炎(ちゅうすいえん)のことを言います。

治療法

右下腹部を一旦押さえて突然放した場合、強い痛みが感じられるようであれば手術による治療方法が採用されます。これは虫垂壁全体からその周りにまで炎症を引き起こしている可能性があるためです。内科的治療法は軽症のケースにおいて適用され、抗生物質の投与や食事制限、補液などによって対処されます。ただし、内科的治療法では再発率が高いとされているため、最終的には手術を行うケースが多くなっています。