ウィルソン病/肝レンズ核変性症

症状

筋肉硬直、手の振るえ、肝機能障害、言語障害などを示します。また浮腫、脾腫、腹水、蛋白尿と共に肝硬変を惹起しますが、これは本症によって肝機能が障害されるためです。あまり見られない疾患ですが、銅代謝異常による先天性の病気となります。尚、初期症状では発疹、血小板減少、白血球減少、リンパ節腫大、発熱などを示すこともあり、腎障害や味覚障害、重度の筋無力症、皮膚症状などは遅発性として出現した報告例が存在しています。尚、ウィルソン病(うぃるそんびょう)は肝レンズ核変性症(かんれんずかくへんせいしょう)のことを言います。

原因

セルロプラスミンは血中において銅を運搬する役目を持つ蛋白質の一つですが、これに異常が認められています。本症は常染色体劣性遺伝を原因としており、十代から不随意運動である振戦及び肝機能障害で生じます。脳、眼、肝臓においてセルロプラスミンは溜まっていきますが、これは体全域で起こります。また灰緑色の沈着が白目と黒目の境界に見られます。

治療法

Dペニシラミンの長期間に渡る投与による治療方法などがありますが、これは銅と結合することで銅の体外排出を促す働きがあります。そのため、チョコレートなど銅を多く含有する食品は控えなければなりません。放置すると肝硬変が悪化するため死に至るケースもあります。通常は数年で適正範囲内まで回復します。ただし、その効果の出現に至るケースは数週間から一年と幅広くなっています。