症状
カイザーフライシャー輪もしくは角膜輪、錐体外路症状、肝病変を特徴にした疾患であり、この他、造血器及び骨の異常、腎尿細管障害など多くの症状を示します。小児では主に肝障害が示され、年齢に比例して精神及び神経症状を呈します。日本での発症年齢は幅広くなっていますが、特に若年層に多く見られます。
原因
セルロプラスミンは蛋白質の一種ですが、この物質は血中において銅を運ぶのに必要な成分となります。ウィルソン病(肝レンズ核変性症/かんれんずかくへんせいしょう)ではこのセルロプラスミンに異常が認められています。常染色体劣性遺伝に起因し、腎臓や脳、角膜、肝臓などにおいて銅の沈着が発生し、これによって臓器障害をきたします。常染色体劣性遺伝性疾患の内、非常に多く見られる病気です。特に黒目及び白目の境界において銅沈着が認められるのが特徴であり、これをカイザーフライシャー輪と言います。
治療法
生涯に渡って適切な治療をする必要性があります。放置すると肝硬変へと進展し、成人に達するまでに死に至ります。通常、銅を多く含有する食品の摂取を控えます。またペニシラミンの長期に渡る投与で、銅の排泄を促進させます。銅はペニシラミンと結合し、最終的に体外へ排出されることになります。本症では、銅の吸収阻害と共に排出を促す治療方法がとられます。尚、ペニシラミンはビタミンB6と拮抗関係を持つため、ビタミンB6も合わせて服用されます。また亜鉛にも銅の吸収を阻害する働きがあるとされますが、ペニシラミンよりその作用は低いとされます。