急性呼吸促迫症候群

症状

急性呼吸促迫症候群(きゅうせいこきゅうそくはくしょうこうぐん)では、浅い呼吸で且つその回数が増え、呼吸困難を示すようになります。通常、元となる疾患を発病した後二日以内に認められます。またチアノーゼや斑点が皮膚に出現し、延いては他の組織まで影響し、昏睡状態を引き起こすこともあります。これは血中に含有される酸素が少なくなることに由来します。

原因

重度の肺疾患が認められる方に多く見られ、液体が肺内部に貯留することによって血液中に含有される酸素が少なくなります。これは肺へ障害を及ぼす疾患に引き起こされるものですが、他の組織の障害によっても発病することがあります。肺内部において損傷を受けると、肺胞間に血液及び体液が流出し、延いては無気肺を引き起こします。これは肺の形状を維持する働きが落ちることに由来するもので、肺胞がつぶれてしまいます。そのため、血液中に酸素を取り入れることができなくなり、血中酸素が低下していきます。ただ二酸化炭素の含有量には変化が見られず、これは二酸化炭素を血液から取り出す働きに支障がないためです。

治療法

まず酸素吸入療法が行われますが、これで改善が見られないケースでは人工呼吸器を用います。急性呼吸促迫症候群では血中の酸素濃度が低下するために、これらの措置がとられます。また利尿薬が肺に貯留した液体を除去するために用いられ、抗生物質は細菌に由来する感染症に対して投与されます。更に栄養を十分補給する必要性があることからチューブや点滴によって補われます。本症では、基本的に元となる疾患の治療によって予後も左右されます。治療が遅れると酸素不足から多くが死に至る病気となります。