蛋白漏出性胃腸症

症状

蛋白漏出性胃腸症(たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう)では浮腫や脂肪便、発育障害、消化器症状を呈します。うっ血性心不全に続発、或いは低蛋白血症が見られるケースでは原疾患に起因し、顔面や下肢において浮腫が示されます。また腹水及び胸水を併発するケースも見られます。脂肪便は脂肪吸収障害によって引き起こされる症状であり、リンパ管閉塞及び腸リンパ管拡張症に起因します。更に蛋白漏出から吸収障害を引き起こし体重減少が見られます。これは発育障害へつながります。

原因

蛋白質が大量に便中へ排泄されることが原因であり、これは胃及び腸における粘膜異常によって引き起こされます。巨大皺壁症(きょだいすうへきしょう)と似たようなものとなります。二次性はネフローゼや潰瘍性大腸炎、クローン病に起因して蛋白質が漏出するケースを指していて、原発性は胸管へ流れる最中で腸管壁を通るリンパ液が漏れるケースを意味します。

治療法

原因となる疾患の治療を行うことが基本とされていますが、これは原発性に起因するものより、他の原因疾患に続発するケースが多いためです。食事療法では低脂肪及び高蛋白食を摂取し、浮腫などには利尿薬などの投与による治療方法が行われます。手術適応は悪性腫瘍、ポリポーシス、潰瘍など蛋白漏出箇所が限局性であり、且つ、消化管疾患に起因する蛋白漏出であるケース、手術で明確な原因疾患の改善が予想できるケース、異常箇所がリンパ管造影において同定されているケースでは手術による治療法が行われます。ただし、腸管から蛋白漏出の併発、後腹膜のリンパ系異常が広い範囲で見られることから手術の実施に至らないケースが多いとされています。