遺伝性腎炎

症状

伴性優性遺伝型においてはネフローゼ症候群を示すこともあり、血尿及び蛋白尿が幼少の頃から明らかに見られます。多くは末期腎不全を引き起こし、進行性の腎機能障害となります。常染色体優性遺伝型、常染色体劣性遺伝型があり、いずれも腎外合併症に対して注意が喚起されています。大半が両側性感音性難聴を合併しますが、完全な聾(ろう)への進行はあまり見られません。その他、拒絶反応を腎移植後において見られることもあり、これは抗基底膜抗体腎炎に起因するものです。また、食道平滑筋腫、網膜や円錐水晶体眼など眼の疾患に関わるものなどが見られます。

原因

ファブリ病、先天性ネフローゼ症候群、爪膝蓋症候群、非薄化基底膜病、アルポート症候群といったものが遺伝に起因する糸球体疾患となります。遺伝性腎炎(いでんせいじんえん)は、このうちアルポート症候群であるⅣ型コラゲンα鎖欠損に起因するものです。多くは、伴性優性遺伝型であり、常染色体劣性遺伝型と常染色体優性遺伝型と続きます。

治療法

腎機能を守るには、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬及びアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などが用いられ、減塩とともに蛋白質の摂取制限を加え、高血圧症状や腎機能に対処します。保存療法が推奨されていて、慢性進行性腎疾患のそれと似たようなものとなります。また、腎機能を保護する働きや尿蛋白を抑制するために副腎皮質ホルモン及びシクロスポリンといったものが用いられることもあります。