糖尿病性腎症

症状

糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)の初期段階では僅かなアルブミンが尿中に認められます。これはいわゆる蛋白尿のことで、そのまま治療をしないと腎機能障害を引き起こし結果的に透析が必要となってしまいます。微量のアルブミン尿が見られる初期段階では高血圧を生じますが、浮腫みなどはほとんど認められません。蛋白尿が明らかに示され出すと下肢が浮腫み出します。その他網膜の障害から物が見えにくくなったりもします。

原因

糸球体はその血圧によって濾過の機能を持っていますが、糖尿病に罹るとこの血圧が異常に上昇すると言われています。このため、濾過されないはずのタンパク質の大きな分子がその血圧によって尿中へ排出されてしまうことが原因になっています。また糸球体高血圧が長期間に渡って持続すると、糸球体そのものが変化し、結果として腎機能が落ちていきます。

治療法

糖尿病に由来する合併症であるため、糖尿病の治療は重要です。血糖を適切な位置に維持することが最も優先され、定期的に尿中アルブミンを測定してその結果を見て治療していきます。糖尿病性腎症には病期というものがあり、腎症前期、早期腎症期、顕性腎症期、腎不全期、透析療法期に分けられます。顕性腎症、腎不全期には血糖調整より血圧調整の方が有効との見方もなされています。その際、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)の利用が薦められています。これは糸球体高血圧にも有効とされているためで、糸球体の輸出細動脈を拡張させると言われています。顕性腎症期に規定された食事療法というものは存在しませんが、この時期よりも腎不全期の方がより厳しいタンパク摂取量のコントロールが必要となります。