解離性遁走

症状

数時間から数ヶ月以上と、遁走期間の幅は広くなっています。遁走の間は、自己同一性は消失しています。そのため、遁走期間が長期に渡るほど、自分の住居から遠いところで別の自我が発生し、新しい人生を送り出すことがあります。この場合、自分に何が起こったのか認識していません。多くは、遁走中でも特に異常な点が見られないため、周囲も問題としません。ただ、遁走中に記憶がなくなっていることに気づくこともあり、そうなると自己同一性が乱れます。尚、遁走中はあまり症状を示すことはありませんが、これが終わると不安定な心理状態になります。例えば、抑鬱状態や攻撃衝動、自身の生命を脅かすといったケースも認められます。

原因

災害や事故などの体験を原因とする場合が多く、その場から脱出したいと感じる顕著な環境下で見られます。また、自身の考えに関係なく生じます。発症の兆しはなく、急に遁走します。その間は一部或は全部の記憶がなくなります。良く似たもので詐病と呼ばれるものがありますが、これはいわゆる仮病のことです。こちらは病気ではないのに病気のふりを意識的に行うものであり、解離性遁走(かいりせいとんそう)は意識に関係なく起こります。

治療法

薬物療法と催眠療法が行われますが、遁走中の記憶回復は困難と言われています。しかし、再発防止には、遁走を招く原因への対応法を意識させることが有用とされています。尚、本疾患は数日中に自然治癒するケースがほとんどとなります。