解離性・転換性障害

症状

日常生活を送るために必要最低限の記憶は残っているものの、過去のある時点からの記憶が消失する症状を示すのが解離性障害です。一方、転換性障害(てんかんせいしょうがい)は、発声できなくなったり、視野の狭窄、視力低下、複視、耳鳴り、歩行不能、手の痙攣或は痺れ、疲労感、肩凝り、吐き気、頭痛、腰痛、嚥下困難などを示します。また持続性の痛みが背中や口の中に感じられることもあります。

原因

いわゆるヒステリーのことを指していますが、現在ではこの言葉はあまり使われません。蔑視的な解釈傾向にあるため、今では転換性障害或は解離性障害(かいりせいしょうがい)と呼ばれるようになっています。前者は、精神的要因に端を発しているにも関わらず、身体的な症状を現すもので、この変化から転換という言葉が組み入れられたと言われています。後者は、人格や意識において統一性が一過性に消失するものです。もともと人は記憶や意識、感覚といったものが統一されていますが、何らかの原因によって高度なストレスに晒された場合、これらに支障をきたします。解離性健忘は、過去の嫌な経験を忘れてしまうもので、酷いケースでは誕生してから今までの全ての生活の記憶を消失してしまうことがあります。ただし、この場合でも食事をすることやトイレ、風呂など生活に最低限必要とされる記憶は残っています。これを全生活史健忘と言い、解離性遁走(かいりせいとんそう)は、現在生活している拠点から逃げ出してしまうケースを言います。この場合、自身が誰かを健忘し、住所も思い出せなくなります。

治療法

精神療法を行うことになりますが、ケースによっては薬物療法も適用されます。症状を出現させる引き金を除去することが重要であり、一般には支持的な精神療法が採用されます。薬物療法では、抗不安薬が用いられ、場合によっては抗精神病薬若しくは抗鬱薬などが適用されます。