症状
肺動静脈瘻(はいどうじょうみゃくろう)ではチアノーゼ、呼吸困難、太鼓ばち状指などが出現しますが、小さいものでは特に症状を示さないこともあります。発症年齢は中年層であり、しばしば血痰、血胸、鼻出血、胸痛などを伴います。また脳症状を示すこともあり、これには脳梗塞や一過性脳虚血などが該当します。更に低酸素血症が多くの症例において見られ、これは右左血流短絡に由来するものです。本症は立位にて増悪し、これは血液が下葉にある肺動静脈瘻へ多く流れ込むためです。一方、肺動静脈瘻が上葉に見られる場合では血流量が減少し、低酸素血症を軽快させます。
原因
肺動脈及び肺静脈の間において発生した吻合異常に起因する疾患であり先天性奇形に由来します。しかし、胸部外傷、甲状腺癌、肝硬変、胸部手術後、肺感染症などで肺動脈異常吻合例があるため後天的にも発生する疾患となります。大きさはミリ単位の直径から数センチに及ぶものが見られ、のう胞状で楕円形の血管瘤であり、その色は赤色をしています。血胸及び肺出血が見られることもあり、これは本疾患において血管壁が薄くなっているためです。
治療法
塞栓術によって流入血管を閉塞します。かつては流入血管結紮術及び外科摘出術が一般的でしたが、塞栓子であるシリコンバルーンやコイルを用いる方法より塞栓術の方が効果が高いとされています。本症は中年層以降で見られるケースが多く、先天性肺奇形の進行も緩慢なものとされます。しかし、肺動静脈瘻が遺伝性出血性毛細管拡張症(レンデュオースラーウェーバー病)に合併した場合、進行も早く多発性になります。更に本症の進行を促進するものとして妊娠なども該当します。尚、本症は肺過誤腫、肺動静脈瘤、肺血管腫、肺動静脈奇形などと言われることもあります。