症状
石綿肺症(いしわたはいしょう)の初期段階では労作の際に限って息切れが示されますが、本症は潜行性に進行していくため、次第に安静の際にも息切れが見られるようになります。少ない喀痰も見られますが、続発性気管支炎を伴うとその量も増えていきます。更に膿状の喀痰を示すこともあり、こちらは感染の併発に起因するものとなります。その他、癌の発生は血痰によって視野に入ります。尚、胸部X線による異常が呈される前に胸部聴診における異常音が認められます。
原因
石綿粉塵またはアスベスト粉塵を吸入したために引き起こされた肺の瘢痕化を指します。石綿を吸入することで胸膜プラークを引き起こし、胸膜は肥厚します。また胸膜腔には良性石綿胸水が蓄積していきます。更に胸膜内において癌である中皮腫を発生させ、腹膜内に癌である腹膜中皮腫を発生させます。石綿によって肺癌を引き起こす可能性はその吸入量との因果関係も指摘されていますが、発症率は喫煙によって上昇します。一般に職業に由来するものを除くと、アスベスト吸入に起因する病気の発生は少なくなっています。
治療法
まず禁煙を行います。これは悪性腫瘍の発症率を上昇させるだけでなく、症状を酷くしていく可能性があるためです。理学療法は呼吸不全若しくは感染症対策として取り入れられます。ただし、石綿肺症には根治させる治療方法がありません。また石綿粉塵を避けてもその進行は止まらず、次第に悪化していきます。尚、石綿肺症はアスベスト肺のことを指しています。