症状
胸腺腫(きょうせんしゅ)。発病したものの多くは良性と言われています。悪性では他の臓器など遠くに位置するもの、或はリンパ節などに転移します。また肺及び大血管に浸潤することもあります。本症では合併症として重症筋無力症を出現させることもあり、特に症状を示さない胸腺腫においても治療しなければ合併症として現れることがあります。更に、この重症筋無力症が出現したことによって、偶然、胸腺腫が見つかるケースもあります。
原因
腫瘍に起因する疾患であり、胸腺から生じる腫瘍では胸腺腫が非常に発症率が高くなっています。発生部位は、心臓と胸骨間の縦隔であり、胸部X線検査で見つけられることが多いと言われています。発症年齢は三十歳以降に多く、異常な陰影が胸部X線像に認められます。
治療法
悪性の場合は、外科手術と共に抗癌薬や放射線療法などを組み合わせての治療方法がとられます。浸潤型胸腺腫(しんじゅんがたきょうせんしゅ)でも根治できるケースが大半となります。一方良性のものは手術を実施することによって再び発症することはなくなります。尚、胸腺の組織は成人後に脂肪組織へと変化します。これは萎縮してしまうためで、胸腺を消失しても生活するうえで特に問題となることはありません。また、手術を行う際は拡大胸腺全摘術が行われ、胸腺腫と同時にその周りに存在する脂肪組織もまとめて切除します。