尿蛋白

血液には或る一定量のたんぱく質が含まれており、体を循環しています。この一部が腎臓の糸球体で一旦濾過されます。その分は、尿中に排泄されますが、これが再び尿細管から吸収されます。再度血液に戻りますが、腎臓機能に異常がなければ、最終的に微量な蛋白しか排泄されません。尿蛋白(にょうたんぱく)の検査は、この排泄された尿中に含まれるたんぱく質を調べるものです。

定性検査と定量検査があり、前者は尿中へ試験紙を浸して変色の度合いを調べるものです。後者は尿の中に含有される一日のたんぱく質量を測定するものです。正常とされるのは定性検査で陰性、定量検査では100mg以下となります。ただし、生理的蛋白尿が排出されることもあり、例えば高たんぱく食や過剰なストレス、疲労、極端な運動などによって発生します。このような環境下で排泄される蛋白尿は、病気とは区別されています。

異常とされるのは陽性(+)或いは疑陽性(±)であり、このような場合は、ネフローゼ症候群や糖尿病性腎症、尿路感染症、胃炎、腎硬化症、慢性関節リウマチ、膀胱炎、腎盂腎炎などが疑われます。一方、検査でのみ異常値を現すものの、腎機能が正常であるケースもあります。これには、うっ血腎や熱性蛋白尿、起立性蛋白尿などが該当します。うっ血腎は腎動脈にうっ血することが原因であり、心不全といった疾患が引き起こします。この場合、うっ血が治癒すると蛋白尿も排泄されなくなります。熱性蛋白尿は高熱由来のもので、解熱から回復期に達すると改善されます。起立性蛋白尿は、立った際に蛋白尿が排泄されるものです。この場合、寝ている際には異常値を示しません。多くは若年層に見られますが、時間の経過と共に自然治癒するに至ると言われています。