尿糖

人間はブドウ糖をエネルギーとして活動しており、この成分が血液中に含有されています。血糖(けっとう)はこれを意味していて、インスリンによって細胞内に吸収されます。インスリンはホルモンの一種であり、膵臓から分泌されていますが、ブドウ糖はこの物質の作用によって分解され、生きていく上で必要なエネルギーを生み出しています。余った分は体内から排出され、その際水と二酸化炭素に変化します。血糖値は通常ならある一定の範囲に治まっており、尿中にブドウ糖が含まれることはありません。これは腎臓において濾過の過程を踏んでも尿細管で再び吸収されるからです。最終的には、再度血液内に入ります。しかしながら、異常が体にあると、血糖値の通常範囲を逸脱することもあります。そのような場合は、分解や尿細管での再吸収がうまく行われず、結果としてブドウ糖が尿中へ排泄されます。この溢れ出た糖を、尿糖(にょうとう)と呼んでいます。

正常とされるのは定性検査で陰性となった場合か、若しくは定量検査において一日で排泄される尿糖量が一グラム以下の場合です。尿糖検査(にょうとうけんさ)を食物の摂取後に行った場合では陽性(+)或いは擬陽性(±)を示すこともあり、この場合、再度検査を行います。再検査で陰性を示せば、正常とされます。

異常と判断された場合、考えられる病気では糖尿病や腎性糖尿のほか、甲状腺機能亢進症などがあります。いずれもホルモン異常に由来するものですが、糖尿病が疑われた場合、更にブドウ糖付加試験や血糖検査が行われます。