神経原性肺水腫

症状

神経原性肺水腫(しんけいげんせいはいすいしゅ)では息苦しさ或は低酸素血症を示しますが、これは頭部外傷後数時間で出現します。また、白血病細胞浸潤、或は脳腫瘍浸潤などでも少ないケースで神経原性肺水腫を引き起こす原因になることが指摘されています。外傷に起因するものは軽度でも重度でも、普通は重症化する場合が多いとされます。

原因

ほとんど見られない病気の一つであり、急性の肺水腫が生じます。これは脳血管障害或は頭部外傷、癲癇発作などに起因して発症します。意図的に頭蓋内圧上昇を引き起こした動物実験では、肺における微小血管圧の上昇が指摘されています。しかし透過性亢進も臨床現場において示されていることから、肺水腫を引き起こす原因にこの透過性亢進と共に肺微小血管圧上昇があると示唆されています。肺水腫そのものは、肺血管の圧上昇に続発して発症しますが、これは交感神経への刺激が一時的に過剰となり、延いては全身血管の収縮を引き起こし肺血管へ血液が集中することに起因します。また圧上昇に伴って肺血管内皮細胞が損傷されることで透過性亢進の症状が出現し、更に高度の肺水腫を引き起こします。尚、頭部外傷後において顕著な肺水腫が認められないにも関わらずガス交換の異常が生じることもあります。これは肺水腫の内、軽いものが発生しているのではないかと言われています。

治療法

対症療法では、水分出納コントロール、酸素吸入療法などがあります。また内圧上昇を改善させ、元となっている病気を治療します。通常、外科的な治療方法によって頭蓋内圧上昇を引き起こす要因が取り除かれれば、肺水腫は数日で消えます。尚、ステロイドが透過性亢進に適用されることもあります。