症状
貧血及び血管閉塞を呈し、前者はマクロファージ及び単球の赤血球貪食、赤血球変形能力減少、血管内皮付着に由来します。後者は手足における疼痛、腰痛、腹痛、胸痛、骨関節痛などを出現させます。感染による死亡例が多くこれは脾臓及び網内系の働きが落ちることに起因し、感染症を招きやすくなるためです。また持続した臓器異常から十歳以降に発育低下が見られ、筋肉、骨、中枢神経系、眼、心臓、肝臓、脾臓、肺、腎臓などに異常を示します。尚、鎌状赤血球貧血(かまじょうせっけっきゅうひんけつ)は常染色体劣性遺伝性疾患です。
原因
赤血球形態の鎌状化はHbs濃度、温度、酸素、またHbA及びHbF量に左右されて、硬直化を招きます。そして血流異常を毛細血管内部で引き起こし、さまざまな症状を示します。また赤血球形態の鎌状の変化はHBsが脱酸素状況下で溶解度が減少するためで、これによって線維状束を形成し、内部から赤血球膜を押し上げることに由来します。
治療法
誘因となるものを生じさせないようにすることが重要となります。アシドーシス、寒冷、低酸素状態、発熱、感染、腹水などが該当し、これらの誘因が存在すると血管閉塞性発作を引き起こす引き金となります。そのため極力これらが発生しないように心がけ、発作を未然に予防します。多くは誕生後数年で死に至り、中年以降の生存率は非常に低くなっています。このことから、見通しも悪いものとなっています。その他、遺伝子治療や鎌状の変化を抑制するためHbF生成を促進させる方法もありますが、これらは試験的に実施されています。尚、抗鎌状化薬は現在開発が進められているものの、長期間に渡ってリスクのない薬は存在していません。