症状

幼児期から出現する皮下出血や歯肉出血、消化管出血、鼻出血が特徴であり、一次止血障害に起因する皮膚出血及び粘膜出血となります。Ⅲ型を除くと筋肉内出血或は関節内出血を呈しません。この点は血友病とは違います。Ⅲ型はヴォンヴィレブランド欠如に随伴してⅧ因子の明らかな低下が示されるため、高度の出血が血友病様に出現します。その他、血尿も見られ、また過剰出血が抜歯や小手術後、扁桃腺摘出によって認められます。

原因

骨髄巨核球或は血管内皮細胞にて生成される大きな蛋白質がヴォンヴィレブランドです。これは血漿や血小板中、つまり循環血液中に含まれますが、ヴォンヴィレブランド量低下若しくはその質的な障害から引き起こされる先天性止血障害をヴォンヴィレブランド病と言います。常染色体遺伝から女性、男性ともに発症します。尚、本疾患では出血が長引くものの、血小板数やその形態、血小板凝集能などに異常は認められません。ただし、出血が長引かず、適正範囲内である場合もありますが、これは軽症例で見られます。一方、血小板粘着能は落ちます。

治療法

ヴォンヴィレブランドの血中濃度を上昇させることで、抜歯や外科手術の際に止血が試みられます。これには高分子多量体となるヴォンヴィレブランドを含有するクリオプレシピテート及びⅧ因子濃縮製剤を用います。尚、血小板数に異常は認められず、出血が長引く血小板機能異常症との識別が診断の際に重要となります。