遺伝性球状赤血球症

症状

黄疸が主症状であり、これが長期間持続することで胆石の発症率も上昇させてしまいます。加えて代償性正赤芽球過形成を溶血の度合いが超えると、赤血球数低下から貧血を招きます。また脾臓での赤血球破壊が亢進すると脾腫大を生じます。本疾患そのものの見通しは良いとされていますが、長期間に渡る黄疸の出現から胆石症を合併したり、それに伴う胆道感染症、延いては肝障害を招く恐れもあるため必ずしも良いとは言えません。

原因

赤血球膜の異常から浸透圧抵抗の低下をきたします。貧血や黄疸、胆石、脾腫を呈します。遺伝性球状赤血球症(いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう)は、赤血球膜蛋白質における部分欠如が大半のケースで原因となります。膜蛋白質が減ってしまうことから赤血球膜の表面積も低下します。このため、赤血球は球状化してしまいます。また本疾患では脾臓も関わっており、これを摘除することで、顕著な改善を示します。ただし、赤血球そのものの膜異常は残存します。

治療法

脾臓の摘除に有効性が認められています。その際、胆石の摘除も望まれます。これによって網赤血球数は適正範囲内となり、黄疸は消え、貧血も改善します。ただし、副脾の有無に気をつける必要性があり、これを見過ごすと溶血が再び惹起されることになります。また脾臓の摘除は乳幼児期に実施すると高度な感染症を招く恐れがあるため、これを避けるべきとされます。