症状
細小血管障害性溶血性貧血に起因する貧血及び軽い黄疸、これらと共に出血症状を呈します。出血は血小板減少症に起因するものです。また健忘、せん妄、失語症、痙攣、運動失調症、回転性眩暈、頭痛、運動麻痺といった精神神経症状を呈します。更に大半で高熱を伴います。
原因
細小血管障害性溶血性貧血、発熱、血小板減少、腎障害、精神神経症状を呈する病態となります。これが血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)とされていましたが、溶血性尿毒症症候群でも細小血管障害性溶血性貧血と血小板減少、更に腎機能障害が強く出現し、両者の区別は困難であることから一つに分類してまとめて取り扱うようになったとされます。これは両者とも血栓性細小血管障害が主軸にあったためで、かつて溶血性尿毒症症候群と言えば、小児を対象に上記の症状と共に出血性腸炎を合わせて発症した流行性のものを意味していたとされます。ただし、血小板癒着を支える血漿フォンヴィルブランド因子を断ってしまう酵素の活性を落とす著明な症例が本疾患で見られるようになり、新たに区別する必要性が高まっているとされます。
治療法
初期段階では血漿交換が実施されます。その際、置換液は新鮮凍結血漿が用いられます。これによって改善傾向が示されますが、鈍い反応を示すこともあるため、持続して治療することが大切になってきます。またLDH、貧血、血小板数を改善させる目的で交換量やその頻度を調節していきます。ただし、溶血性尿毒症症候群に対しては血漿交換に効果は認められません。その他、副腎皮質ホルモン薬が抗体の生成を抑える目的で用いられ、抗血小板薬であるアスピリンといったものが血小板活性を抑えるのに適用されますが、その有効性は確立されていません。