慢性硬膜下血腫

症状

慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)では、軽い頭部外傷から数週間後に記憶障害、失見当識、片麻痺などの症状を徐々に示し出し、進行していきます。多くは中高年以降の方に見られ、ケースによって無症状であったり、軽い頭痛しか示されないこともあります。限局性の神経症状を示さないことも多いとされます。こういった理由から高齢者などでは突然ボケが始まったのではないかと解釈されやすく治療を行わないケースが多いとされます。放置すると硬膜下血腫は次第に肥大化し、脳ヘルニアから呼吸麻痺を引き起こす例も見られます。

原因

血腫を硬膜とくも膜間に生じることが原因であり、多くは外傷から架橋静脈が切断されて生じます。小血管が血腫の硬膜側皮膜に多く存在し、これが度々出血を引き起こすことで血腫が肥大化して行きます。肥大化した血腫は脳に圧力を加えるため、症状が現れます。本症は飲酒を大量にする方に多く見られます。また女性より男性によく見られる他、血液透析や抗凝固療法を行っている際にも生じることがあります。

治療法

開頭による手術で血腫を取り除きます。これは小さな孔を開ける手術でバーホールと呼ばれる治療方法です。脳が損傷を受けることはなく、術後は片麻痺などの症状も急速に改善します。ただし、脳の圧迫が高度であったり、血腫が大きすぎる、高齢者といった条件下では長期間に渡っての見通しが悪化します。保存療法では抗脳浮腫薬などが用いられていますが、こちらは軽症で且つ小形の血腫に対して適用される治療法となります。