症状
結核性腹膜炎(けっかくせいふくまくえん)では腹水貯留をはじめ、腹痛や腹部膨満感、体重減少などが示されます。また、圧痛などは回盲部に示され、これは当該箇所に結核病変が多発傾向にあるためです。更に肥大化した腸管においては腫瘤を触れて感知できます。
原因
結核菌の感染が原因となります。腸間膜リンパ節結節、腸結核など他臓器結核に起因して続発するケースが多く、原発性はあまり見られません。日本では結核患者が急激に減少しましたが、現在その減少率が鈍くなっています。これは中年以上の高齢者に高い確率で本疾患が認められているためです。
治療法
安静を心がけ、高カロリー食で且つ偏らない食事による治療方法がとられます。また薬物では抗結核薬を用いた治療法が採用されます。手術はイレウスが見られた場合に適用されます。これは癒着型において腸管が狭まって腸閉塞をきたすことがあるためです。診断では赤沈値やツベルクリン反応、微熱などが判断の材料となっています。現在、診断を速めるDNAプロープ法などが採用傾向にあります。滲出液などは他の病気でも見られるため、これを本症と識別する必要性があります。また、漏出性腹水もその識別が必要となっています。結核菌は腹水の培養などでその有無を確認します。その他、胸部X線写真なども診断の際に利用されます。