腎性尿崩症

症状

腎性尿崩症(じんせいにょうほうしょう)では多飲症と多尿症といった症状に分けられます。多飲症は、喉が非常に渇くため水を大量に飲む傾向にあります。多尿症は、尿が多量に排泄される傾向にあります。乳児などでは自らの意思で水を飲むことができないため、多飲症であれば重度の脱水症状を引き起こすことになります。このため、発熱に続いて発作や嘔吐といった症状を現すこともあります。腎性尿崩症の治療を早くしないと乳児の脳において障害が発生する可能性もあるため、こうなると精神遅滞などの後遺症が残ることになります。尚、先天性腎性尿崩症(せんてんせいじんせいにょうほうしょう)は生後しばらくしてから症状を現し、具体的には多飲、多尿といったものになります。見て直ぐに気づくものでは、発育不全や食欲低下、嘔吐、便秘、発熱といったものになります。

原因

抗利尿ホルモンの働きを阻害する薬剤の利用や遺伝子によるものが原因となります。腎性尿崩症は男性に限って発病するものですが、この病気の遺伝子を持つ女性の場合、生まれた子供にも遺伝子を伝えます。尚、先天性のものはAVP V2受容体遺伝子及び水チャネルアクアポリン-2の遺伝子異常が原因となります。

治療法

先天性のものと後天性のものがあり、先天性腎性尿崩症には適切とされる治療法はないとされています。この先天性の病気はAVP V2受容体並びにアクアポリン-2の遺伝子障害に起因するものとなっています。現在クロロサイアザイド、インドメタシン、多量のDDAVPの利用による治療法が行われています。通常、適度とされる水分を補給していれば生活に影響を与えるほどの障害はないとされます。後天性腎性尿崩症に起因する多尿に関しては格別治療を要しないとされます。ただし、元となる原因を除去することが必要とされています。尚、抗利尿薬様のデスモプレシンによって尿量を減少させることが可能です。治療薬では、サイアザイド系利尿薬やNSAIDsと呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬といったものがあります。いずれも作用メカニズムに違いが認められますが、どちらも尿量の排出を減少させる働きがあります。これは腎臓において再吸収されるナトリウム量と水分量を増加させる作用があることに由来しています。また成人のケースでは元となる原因を発見して治療することが改善につながるとされていて、特に重度な脱水症状を惹起する以前に診断されると予後は期待できるものとなります。脱水を予防するためには不足なく水分を摂取することが大切で、これに気をつければ脱水症状を惹起することはありません。水分を何時間も補給しないと脱水症状もそれだけ重いものとなります。その他、食事においては塩分を避けたほうが良いとされています。