甲状腺機能低下症

症状

粘液水腫様物質浸潤及び甲状腺ホルモン欠損に起因する新陳代謝低下から引き起こされる症状に分類されます。ただ、初期段階では色々な症状を示し、非特異的とされるため、発見されないケースもあります。前者では粘液水腫様顔貌、嗄れ声、息切れ、体重増加、難聴、筋肥大、舌肥大及び言語緩徐などがあげられます。後者では、精神活動低下から、物忘れや疲れやすい、動作が遅くなる、無気力、精神鈍麻が見られたり、消化管運動低下から、食欲減少やイレウス、便秘などを生じます。また、寒がりになったり月経過多、痺れ感や筋肉痙攣、筋肉痛、脱毛、皮膚症状などを呈します。

原因

先天性に基づく甲状腺障害や母体のヨード不足などが原因となります。甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は通常よりも甲状腺ホルモンが分泌されにくくなっている病態を言います。多くは甲状腺そのものの障害により引き起こされ、これを原発性甲状腺機能低下症と言います。一方、甲状腺刺激ホルモンであるTSHの分泌の減少を、視床下部若しくは下垂体の病気から招かれるものもあり、これにはTSH欠損症や中枢性甲状腺機能低下症などが該当します。原発性のもので非常に多いのが橋本病(はしもとびょう)であり、また甲状腺ホルモン合成の阻害薬や放射線を用いた治療の後、さらには甲状腺摘出なども本疾患を引き起こす原因となります。

治療法

補充療法で甲状腺ホルモンが投与されます。これによって血液中の甲状腺ホルモンを適正範囲内に維持することが治療の目標となります。生涯に渡って甲状腺ホルモン投与の必要性に迫られるケースが多い反面、放置すると多彩な合併症を生じます。しかし補充療法を実施することで通常の日常生活を送ることが可能となります。