慢性甲状腺炎

症状

萎縮生及び軽いものでは著明な甲状腺腫を触れにくいものの、通常、瀰漫性且つ左右対称性に甲状腺は腫脹をきたします。時として錐体葉における腫大も認められます。慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)の初期段階では硬さも柔らかくなっていますが、時間の経過と共に硬直傾向にあります。多くはこういった甲状腺腫大が主症状となりますが、進行に伴って甲状腺機能低下症の症状が生じます。これには体重が増えたり、肩凝り、寒がり、便秘、倦怠感などが該当します。

原因

橋本病とリーデル甲状腺炎に分類され、橋本病は自己免疫性甲状腺炎とも呼ばれます。一方リーデル甲状腺炎はほとんど見られないため、慢性甲状腺炎と言えば、通常、橋本病のことを言います。男性より女性に多く見られ、家族性に発症するため、遺伝的な原因も指摘されています。リンパ球浸潤、リンパ濾胞形成、結合組織増生、上皮細胞における変性などを示す一方、リンパ球浸潤をあちこちに散らばって示すだけのケースもあります。悪化に伴って甲状腺機能低下症が出現することになります。また亜急性増悪のケースでは破壊性甲状腺中毒症を出現させますが、これはホルモン漏出が甲状腺破壊によって引き起こされることに由来します。

治療法

甲状腺機能や血液中のTSH値に異常が認められず、瀰漫性甲状腺腫大のみ出現したケースでは、治療を要しません。一方、甲状腺機能に異常は認められないもののTSH値が上昇しているケースで肥大した甲状腺腫を見る場合、若しくは著明な甲状腺機能低下症を合併しているケースでは甲状腺ホルモンの投与が生涯に渡って実施されます。尚、ヨードを含む食品の過剰摂取が甲状腺機能低下症を引き起こしているケースでは、ヨードの摂取制限を行うことで軽快が見られることもあります。これは一時的な甲状腺機能低下症であることから、生涯に渡るホルモン代償療法を必要としない場合もあります。