糖尿病神経障害

症状

単神経障害では顔面神経麻痺や複視などが急激に生じます。複視は外転神経麻痺及び動眼神経麻痺に由来します。多発神経障害には末梢神経障害と自律神経障害があり、前者は疼痛や痺れ、温度や痛みなどの知覚に異常をきたします。いずれも四肢遠位個所において生じ、更に左右対称性となります。また上肢に比較すると下肢に多く見られる傾向があります。後者では全身症状を示し、極端にQOLを落とします。主に下痢や便秘、瞳孔調節及び発汗調節並びに男性の機能の障害、そして胃排泄機能低下や起立性低血圧、神経因性膀胱などを生じます。

原因

大別すると単神経障害及び多発神経障害に糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)は分類され、内鞘血管異常と神経病変に起因して発症します。具体的には内腔狭窄や節性脱髄、軸索変性といったものが原因となります。また単神経障害は限局性栄養血管における血行障害によるものであり、多発神経障害は高血糖障害に起因する代謝異常及び血管障害に由来します。

治療法

対症治療と共に血糖調整が重要となり、アルドース還元酵素阻害薬の他、ビタミンB12が投与されます。また塩酸メキシレチンや抗痙攣薬、三環系抗鬱薬、消炎鎮痛薬などが痛みのある神経障害に用いられることがあります。更に血小板凝集抑制薬や血管拡張薬などは神経内における血行異常に適用されます。尚、下肢における血行障害や変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、絞扼性神経障害、アルコール性末梢神経障害などとの区別を要します。