症状
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)では誤嚥の程度にもよりますが、大量であれば呼吸困難から発熱やチアノーゼが示されます。チアノーゼは低酸素血症に起因します。少量で且つ誤嚥を何度も行っている場合では、数日ないし数週間経過した後、息苦しさや発熱、膿状の痰などの症状が出現します。尚、老齢者では傾眠や意識障害などが示される一方、発熱を認めない肺炎を生じさせます。これは治療を遅れさせる要因にもなります。
原因
食物などを飲み込むことを嚥下といますが、通常、気管支内部へ異物が入るのを防ぐ咳反射によって嚥下がスムーズに行われています。これらの機能は中枢神経や脳血管に障害が発生することで妨げられてしまいます。本症はこれらの反射がうまく行われず、結果として肺において感染症を引き起こすことが原因となります。X線やCT検査などを実施すると浸潤影が確認できます。これは肺炎に特有のものとなります。また悪化すると膿の蓄積や膿胸を引き起こす原因になります。
治療法
抗菌薬が用いられます。多くの場合、病原菌が特定できないため、予測からその菌に有効とされる抗菌薬が選択されます。また、咳反射を亢進させるため、予防対策としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬が用いられることもあります。尚、誤嚥性肺炎では口腔内消毒や、一度に口に入れる量を減らすといったことも予防につながります。