症状
全身倦怠感をはじめ、食欲不振や熱の上昇、右季肋部痛などを示し、更に圧痛を認める肝腫大も出現します。しかし黄疸はほとんどのケースで見られません。
原因
多くは男性に認められる疾患であり、病原性アメーバの経口感染が原因となります。経門脈を介して大腸炎病巣から肝臓に移動し、これによって肝膿瘍を発生させます。アメーバ性肝膿瘍(あめーばせいかんのうよう)は輸入感染症の一種であり、血液検査から画像、血清、穿刺吸引といった順に検査の手続きが踏まれます。
治療法
手術は大抵行われず、ドレナージを実施することもほとんどありません。基本的に化学療法が中心の治療方法が採用されます。通常メトロニダゾールなどの投与が行われ、これによって改善が見られないケースではドレナージを実施します。その他クロロキンやエメチンなどを組み合わせて投与されることもあり、これはメトロニダゾール抵抗性のケースとなります。化学療法を実施することで、その九割は治癒するに至ります。ただし膿瘍破裂に起因する膿胸、心膜炎、腹膜炎などによって見通しが悪化することもあります。尚、転移性肝癌、壊死性肝腫瘍、化膿性肝膿瘍との識別を要します。