背腹側膵管非融合

症状

上腹部痛、高アミラーゼ血症、胆石症、膵炎などに起因してたまたま見つかるケースが多くなっています。女性及び男性に大差はなく、膵管非癒合そのものは先天性異常でやや多く見られます。膵管像においては主乳頭より発する主膵管は短くなっており、更に分岐しています。合併症が認められない膵管非癒合では膵内外分泌の働きも適正範囲内であり、膵臓そのものの形状もUSやCT上、異常は認められません。尚、通常、胎児期において二つの原基で膵臓は構成されています。しかし、誕生後もこれらの原基が癒合しないことがあり、これを膵管非癒合(すいかんひゆごう)若しくは膵管癒合不全(すいかんゆごうふぜん)と言います。副膵管には通常僅かな膵液が流れますが、この疾患では大量の膵液が流れ出ます。このため閉塞性慢性膵炎或は急性膵炎を招きますが、症状は特に示されないケースが多くなっています。

原因

副乳頭を通じて体尾部全域、及び頭部上半部における膵液が流れ出ることから炎症を招きやすくなっています。これは開口部が狭窄しているにも関わらず膵外分泌量が多いためです。また膵炎との関与は否定されているものの、酒類の過剰摂取或は副乳頭開口部の狭窄が伴うと膵炎を招きやすいと言われています。尚、背腹側膵管非融合では膵臓における腹側原基及び背側原基において膵管系の癒合は認められません。

治療法

膵炎を合併した場合、副乳頭切開を実施することもあります。これは膵炎の再発を防ぐ目的で行われるもので、開口部を拡張させることで効果があると言われていますが、現段階ではその有効性も指摘されているだけに留まります。尚、本疾患では主膵管及びその枝は分岐していますが、膵癌では途絶えています。このため識別は容易とされます。