便潜血反応

大腸癌など初期段階であれば早期癌の大半が発見できる検査であり、進行癌ではほぼ九割程度が見つかります。血便は微量だと肉眼では発見しにくいですが、便潜血反応(べんせんけつはんのう)によってそれが分かるようになります。便に血液が混じるのは通常、消化管である口や食道、胃腸、排泄口までの間で出血があるためです。かつては化学的潜血反応検査(かがくてきせんけつはんのうけんさ)といわれる酵素を利用したものが行われていました。この酵素作用によって血中のヘモグロビンが発色して青くなるものですが、食事で摂取してしまった動物の血液や他の成分でも同様に発色してしまうため、検査前に食事制限が実施されていました。つまり、疑陽性(ぎようせい)や精度の狂いが問題視されていたわけです。ただし、近年では免疫学的便潜血検査(めんえきがくてきべんせんけつけんさ)が実施されるようになっており、こちらは人間の持つヘモグロビンに限定して反応するものです。

消化管出血がない場合、陰性(-)となります。しかし、歯肉出血や鼻出血、痔などでも陽性(+)を示すため、正確な診断が必要です。また、便中の潜血は偏りも考えられるため、連続して何度か検査することも大切です。

検査で陽性(+)、疑陽性(±)となった場合、ポリープや潰瘍、消化管の癌などが疑われます。特にタール便が肉眼で確認できる場合、十二指腸潰瘍、胃癌の順で、上部消化管出血が考えられます。一方、下部消化管出血では赤っぽい色をした血便であり、痔、潰瘍性大腸炎、ポリープなどが考えられます。尚、消化管出血か痔、歯茎の出血かを区別するには内視鏡検査やX線検査が実施されます。