GOT/GPT

アミノ酸を生成する作用を有し、身体のあらゆる臓器組織の中に存在する酵素がGOTと略されるグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼです。グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼも同様の働きを持つ酵素であり、GPTと略されます。通常、生体組織は休むことなく新しく生成されると同時に破壊も行われています。このため、健康であっても人間の体には或る一定のGOTが存在しています。しかし、もともとGOT(AST)は人間のからだを構成するアミノ酸を作り出す働きを担っていることから、体の組織が傷を受けると、当然その量も増加します。

心臓、肝臓、骨格筋の順にGOTを多く含有していますが、いずれの部分でも障害が招かれると、細胞の機能低下から透過性が強まり、血中に入り込んできます。これが臓器障害の発見につながりますが、肝臓病に関してはGPT(ALT)のデータも診断に必要です。これは肝臓にGPTのほとんどがあるためで、ここに何らかの障害が発生するとGPTも素直に反応を示すからです。

正常とされるのはGOT、GPT共におよそ34IU/l以下の場合です。ただし、基準値を微妙に逸脱していても総合評価で問題なければ、異常なしと判定されます。これは肝臓が再生する特徴を持っているためであり、破壊された分だけ新しく作られていれば、その働きに問題は発生しないからです。

GOTとGPTは健康であれば、その値も似たようなものになります。両者に開きがある場合は何らかの疾患が疑われます。GPTの方が高い場合は、慢性肝炎やウイルス性肝炎、急性肝炎絶頂時以降、中毒性肝炎といったものが疑われます。GOTの方が高い場合、劇症肝炎やアルコール性肝炎、肝硬変、初期段階の急性肝炎、肝臓癌などが考えられます。尚、急性肝炎のケースでは初期段階でGOTの高値を示しますが、絶頂を過ぎると今度はGPTの方が上昇してきます。

異常値が認められたら、病歴のほか手術を過去にしたことがあるか、輸血をしたことがあるかなど色々調べます。また、確定診断は別の検査結果も総合してから行われるため、形態学検査及び血液生化学検査といった情報も得る必要があります。