酸素を各組織へ運搬する大切な役割を持っているのが、赤血球に含まれる血色素であるヘモグロビン(Hb)です。この物質は、鉄分であるヘムとたん白であるグロビンが結合したもので、ヘムが酸素と二酸化炭素を出し入れしています。そのため、この物質の減少は貧血を引き起こすことになります。
当該検査は、血中に存在する血色素量、つまりその濃度を調べるもので、その目的は貧血の存在の有無となります。また、輸血を実施する判断基準としても適用されます。正常とされるのは女性でおよそ11から15g/dlであり、男性で13から17g/dl程度となります。異常とされるのは10g/dl以下のケースであり、貧血が考えられます。しかし、成人と同等の値になるのは15歳ぐらいからであり、幼児だけでなく妊婦や高齢者においてもこの数値は一般成人より低いとされます。
異常と判断された場合、詳細な検査を実施します。判定にはヘマトクリット値や赤血球数、血色素量も調べる必要があり、これを所定の計算式に入れて割り出す赤血球恒数を使います。MCHCは平均赤血球血色素濃度のことで、それぞれの赤血球の容積に対するヘモグロビン量の比率を示したものです。MCVは平均赤血球容積のことで、赤血球の大きさが確認でき、それぞれの赤血球が占める容積の平均値となります。MCHは平均赤血球色素量のことで、それぞれの赤血球内に含有されるヘモグロビン量の平均値を指します。悪性貧血などの大球性正色素性貧血はMCVの上昇から判定され、鉄欠乏性貧血である小球性低色素性貧血は、MCHC及びMCVの低下から判定されます。