腹部血管造影

それぞれの臓器に生じた腫瘍が悪性か良性かの判断や、消化管出血の起こっている場所、診断及び治療に対して有効な検査であり、別の検査で十分に情報を得られないケースで適用されます。手術を行うべきかどうかの判断や、悪性腫瘍の範囲などの情報も得られます。血管の形状や異常、変化を調べるものですが、これにはヨード系造影剤を注入する必要があります。これによって腹部の臓器である肝臓をはじめ腎臓や膵臓、胆嚢などの血管を染め出して連続X線撮影を行います。造影剤は細い管で構成されるカテーテルを大腿部動脈から挿入します。ただし、個人差はあるものの造影剤の副作用である心停止や血圧低下、呼吸困難、意識消失など重篤な症状を発現させたり、合併症を招くことがあります。軽い副作用では蕁麻疹や吐き気などに留まります。尚、検査前にはヨード系薬剤に対するアレルギーの確認などが行われることもありますが、アレルギーがあれば、検査を実施しないこともあります。また、その日の朝から絶食となります。

腹部血管造影検査(ふくぶけっかんぞうえいけんさ)では同一姿勢を一定時間維持します。検査結果はCTや超音波といった他の検査と共に、数日後分かります。異常と判断された場合、血栓症や動脈瘤、また悪性腫瘍が胆道や肝臓、膵臓において発生していることなどが考えられます。尚、造影剤を注入する際には熱さを感じたり、痛みがカテーテル挿入の際に生じたりします。