血清総蛋白/TP

口から食べ物を摂取すると、それが胃腸に移動して消化されます。ここでアミノ酸へと分解され、それが血中に流れて臓器などの組織に蓄えられます。そして肝臓へ移動したアミノ酸は合成によって血清蛋白、組織蛋白、酵素蛋白などを作り出します。血清総たん白(TP)は血清内に含有される全てのたんぱく質を意味していて、血清内には一割弱が存在しています。種類としては100個ほど知られています。たん白には色んな種類があるものの、血清中で中心となるのはアルブミンで、次いでグロブリンとなります。

血清総たん白検査は肝障害の存在やその度合い、身体の栄養状態を調べるのに有用です。人間の体にとって色んな作用を持つ血清たん白は次々と合成されていますが、その一方で破壊されているものもあります。通常、このバランスは一定比率で維持されていますが、何らかの障害が発生すると、その平衡状態を崩します。当該検査はその変動を測定して、原因を突き止めていくものです。

血清総蛋白(けっせいそうたんぱく)の数値は高すぎても低すぎても異常と判定されます。高いと高蛋白血症であり、低いと低蛋白血症となります。前者は肝硬変や悪性腫瘍、結合織病(けつごうしきびょう)、マクログロブリン血症、粘液水腫、自己免疫疾患、本態性M蛋白血症、慢性肝炎、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)などグロブリン異常に起因するものと血液濃縮を原因にするものが考えられます。後者は、肝障害である肝硬変や急性肝炎、悪液質、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、急性感染症、慢性消耗性疾患、胸水、日焼け、栄養不良、妊娠、腹水穿刺、腸吸収不全症候群、全身浮腫、急性腎炎、瀰漫性皮膚炎などアルブミン減少に起因するものと血液を希釈してしまう水血症などを原因にするものが考えられます。

異常と判断された場合、その原因を追究するため更に詳細に血清総蛋白が調べられます。その際、血清蛋白を分画する検査も行われます。