ゾリンジャーエリソン症候群/ガストリノーマ

症状

非常に多いのが腹痛で、これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍と同様になります。また下血や吐血、下痢、吐き気、嘔吐、腹部不定愁訴なども出現します。通常、消化性潰瘍に起因する症状となります。水溶性或は脂溶性下痢は、消化酵素活性が阻害されることに起因すると言われており、これは下部腸管へ多量の胃液が流れ込むことに由来します。

原因

非ベータ細胞と呼ばれる細胞が膵臓にて腫瘍を発生させ、この腫瘍がガストリンと呼ばれる胃液分泌ホルモンを生成します。このため、胃液の過剰分泌が引き起こされ、潰瘍が発生すると考えられています。ゾリンジャーエリソン症候群はガストリノーマとも呼ばれていて、難治性の胃潰瘍及び十二指腸潰瘍、ランゲルハンス島における腫瘍、胃液過剰分泌を徴候とします。

治療法

腫瘍を除去する手術が行われます。ケースによっては胃の全摘が実施されることもあります。一方、転移や多発性腫瘍などの理由により、腫瘍の摘出ができないケースでは過剰な胃酸分泌を薬物によって抑えます。内科的にはヒスタミンH2受容体阻害薬などが適用されます。化学療法でストレプトゾトシンなどは肝腫大が見られるケースにおいて適用され、これは悪性腫瘍で且つ転移している場合となります。尚、ガストリンは胃粘膜を増殖させる働きを有するため、胃の部分摘除術を実施しても残った胃の細胞で壁細胞数を増やし、これによって再度過剰な胃酸分泌が促進され、潰瘍の再発を招きます。