薬物性肝障害

症状

同じ薬物を再び投与すると症状が出現する期間は短縮される傾向にあります。多くは二ヶ月以内の潜伏期間を経て出現します。アレルギー反応では発熱や皮疹を示し、黄疸や掻痒感は胆汁うっ滞に起因して出現します。尚、ウイルス肝炎とよく似た症状を示す代謝性特異体質型肝障害ではアレルギーに起因する症状を呈しません。近年、胆汁うっ滞やアレルギーなどの症状を示さない薬物性肝障害(やくぶつせいかんしょうがい)も多く見られ、鑑別が難しくなっています。

原因

抗生物質をはじめ、鎮痛薬や解熱薬、消化器系薬物、化学療法薬、循環器系薬物などを原因とする疾患であり、抗生物質ではペニシリン系やセフェム系のものが非常に多いとされます。これら以外にも栄養補助食品や漢方薬などが原因になりえます。薬物代謝を行う主軸となる臓器が肝臓であり、本疾患は薬物若しくはその代謝産物によって引き起こされます。男女の発症率には大差は無く、年齢も関係ないとされます。

治療法

まず、原因となる薬物の利用を停止します。黄疸や胆汁うっ滞といった症状が長引くケースでは、副腎皮質ホルモン薬や胆汁酸製剤などが適用されます。また原因とされる薬物を特定できない場合、使われている薬で治療上必ず必要であり、且つ他の薬に変更できないケースでは、それを除く必須でない他の薬はすべて利用を停止します。更に急性肝不全様の形態をとる重度の胆管消失若しくは広範囲に渡って肝細胞壊死が見られるケースでは劇症肝炎と同様の治療方法がとられます。これらの治療法で改善が見られない場合、肝移植が行われることもあります。