筋萎縮性側索硬化症

症状

筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)では手指における筋肉の脱力及び萎縮などが見られ、徐々に全身の筋肉に対して萎縮が拡大していきます。こういった上肢末端から萎縮が開始される場合と下肢から開始される場合とがあります。後者では麻痺から歩行障害を惹起します。本疾患は悪化すると舌の筋肉にまで萎縮が及び、言語障害と共に嚥下困難を示します。更に進行して呼吸筋に至ると命を落とすこともあります。

原因

脳から脊髄にかけての上位運動ニューロン及び脊髄から末梢にかけての下位運動ニューロンが傷害されることが原因であり、運動神経の通過点である脊髄の側索において変性を示します。このため、筋肉萎縮に伴ってその低下も引き起こし、更に腱反射亢進を認めます。本疾患の原因はハッキリと解明されていませんが、悪化しても知能及び感覚が障害されることはあまり見られません。尚、診断は筋生検、筋電図、そして臨床症状から確定されます。

治療法

現段階では確立した治療法はありません。ただし、本疾患の進行を遅滞させるリルゾールといった薬及び筋弛緩薬の投与による治療法が実施されています。更に呼吸のコントロールを器械にさせるレスピレーターと呼ばれるものが、呼吸障害に適用されることもあります。本症は進行性であるため人工呼吸器を装着する必要性があります。これを行わないと数年で死亡に至るケースが多いとされます。十年以上の年月をかけてゆっくり進行するケースも見られますが、進行性球麻痺の場合は病状も急激に悪化します。これは高度の嚥下障害や言語障害を示すもので、延髄における神経核が障害されることで引き起こされます。