進行性多巣性白質脳症

症状

進行性多巣性白質脳症(しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)では痴呆をはじめ、混乱や行動の異常、性格変化、運動麻痺、失語、視野障害といった症状を示しますが、これは大脳において病巣が形成されるためです。進行性多巣性白質脳症はHIVを含め膠原病や血液、リンパ系悪性腫瘍などにも合併して惹起されます。

原因

健康な成人の大半は腎臓においてJCウイルスの不顕性感染を生じていますが、免疫不全に起因してこのウイルスは増殖していきます。こうなると血液を介して脳に達し、ここでオリゴデンドログリアと言われる隋鞘形成細胞に感染することになり、結果として髄鞘を破壊し、脱髄を発生させます。進行性多巣性白質脳症はこのJCウイルスに引き起こされる脱髄脳炎となります。また多くの合併症はこの免疫不全の病気となります。不整形の脱髄斑が大脳皮質下の白質に見られます。

治療法

高活性抗レトロウイルス療法はエイズに対して適用されます。これはJCウイルスの増殖がHIVによって亢進させられるためですが、この治療方法でもHIV患者には延命治療にしかなりません。またJCウイルスに有効性が認められる薬も存在していません。進行性多巣性白質脳症は発症すると見通しが悪く、半年以内に亡くなる傾向にあります。尚、脳原発悪性リンパ腫、多発脳梗塞性痴呆、プリオン病、多発性硬化症との識別が必要とされます。