ウェルニッケコルサコフ症候群

症状

ウェルニッケコルサコフ症候群(うぇるにっけこるさこふしょうこうぐん)では集中力が落ちたり、傾眠といった意識障害を併発する精神症状を示し、悪化すると昏睡状態を引き起こします。また運動失調と共に眼球運動障害、複視、眼振といった症状も示します。チアミンを補うことが必要であり、放置すると意識障害は更に進行して昏睡状態を引き起こします。延いては死に至るケースもあり、仮に回復しても重度の健忘や運動失調といった後遺症を招くことが多くなります。病変が生じる場所では出血及び血管増生が見られ、乳頭体および視床下部、視床内側部、小脳虫部、橋被蓋、中脳水道周囲灰白質といった個所になります。診断はMRIによって行われ、視床及び中脳水道周囲において異常が見られます。ただ軽いものでは異常を示さないこともあり、また通常の一般検査においても特に異常は示されません。

原因

偏った食事など、栄養状態の悪い環境などが原因となります。また急激にビタミンB1を消費するチアミンを含有しない糖質の投与に起因して脳症を招きやすくなっています。本症は慢性化したチアミン不足から引き起こされる中枢神経障害のことを指しています。

治療法

静脈注射によって多量のチアミンを数日に渡って投与し続けます。後に経口投与に移行するまで持続量を注射にて行います。後遺症が残るケースは多いとされるものの、これらの治療によって直ちに意識障害や眼球運動障害に改善が見られるようになります。尚、ウェルニッケコルサコフ症候群では意識障害が特徴であるため、薬物、脳症、髄膜炎、脳炎などに起因する意識障害と識別する必要性があります。