単純ヘルペスウイルス感染症

症状

カポジ水痘様発疹症、髄膜炎、脳炎、新生児ヘルペス、ヘルペスひょう疽、角結膜炎、歯肉口内炎などを呈します。カポジ水痘様発疹症はアトピー性皮膚炎などに単純ヘルペスウイルスが感染した場合に生じる病態であり、急激に小水疱が全身へ播種されます。ややHSV-1に多いとされます。熱の上昇や脱水、食欲低下などを随伴させます。アトピー性皮膚炎以外では、熱傷やダリエ病によるものもありますが、多いのはアトピーとなります。髄膜炎及び脳炎では髄膜刺激症状である熱の上昇や嘔吐、頭痛といったものが見られ、また脳炎由来の麻痺、不随意運動、痙攣、昏睡なども見られます。多くがHSV-1となります。新生児ヘルペスは母体に起因する感染症です。初感染においては熱の上昇や全身倦怠感、頭痛、筋肉痛といった症状を随伴させます。潜伏感染するため、再発する傾向にあり、その際、仙髄神経節に潜みます。

原因

一型と二型に分類され、前者はHSV-1で、後者はHSV-2となります。単純ヘルペスウイルス感染症の一型は三歳頃までに感染し、抗体の保有率は学童で三割程度となっています。これに対し二型は男女関係の接触によって感染するケースが多く抗体保有率は低くなっています。はじめて感染した際の疾患が治っても、知覚神経節において潜伏していると言われています。このため、免疫機能が低下した場合に再び発症します。直接接触或は唾液を介して感染し、知覚神経節に潜伏するには、皮膚及び粘膜を制御する知覚神経終末より軸索に沿って入り込みます。数日から三週間程度の潜伏期を経て発症します。

治療法

ビタラビンやアシクロビルといった抗ウイルス薬に効果があるとされます。軽いものでは、局所性に外用薬を用いたり、経口薬が使われます。中等度を超えるものでは、注射薬による全身投与が実施されます。また、非ステロイド系消炎薬や抗菌薬などがカポジ水痘様発疹症に適用され、抗痙攣薬などは脳炎及び髄膜炎に適用されます。消炎酵素薬は歯肉口内炎に使います。アシクロビルなどの経口摂取ができない場合で、且つ中等度を超える症状のケースでは輸液療法が実施されます。