急性灰白髄炎

症状

軽いものでは麻痺を残存させずに改善されます。熱の上昇など感冒症状が数日続き、無菌性髄膜炎や胃腸炎などの症状を示します。無菌性髄膜炎は非麻痺型となりますが、麻痺型の場合、四肢一側性の麻痺を呈します。これは熱の上昇や髄膜炎が発生した後、熱の下降が見られる際に生じます。重症化すると、意識障害や上行性麻痺を示すこともあります。多くは不顕性感染で経過し、二週間前後の潜伏期を経て発症します。

原因

一型から三型に分けられますが、これは抗原性の違いによるものです。中でも急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)の一型は流行性に拡大するケースが多いとされます。原因菌は、ピコルナウイルス群エンテロウイルス属であるポリオウイルスとなります。感染すると中枢神経症状である脊髄前角炎を主軸として発症します。このウイルスは腸管上皮細胞や咽頭粘膜で増え、経口性に感染します。また二次性にリンパ節において増殖し、ウイルス血症を招いた後、中枢神経系に及びます。一肢の弛緩性運動麻痺を残存させますが、これは脊髄前角の損傷に由来します。

治療法

効果が認められる治療方法は存在していません。治療にあたってはATPやビタミンB1、ビタミンB12などが用いられます。炎症や浮腫などに対しては副腎皮質ステロイド薬が用いられます。急性灰白髄炎は生ワクチン接種による予防の評価が高くなっていますが、欧米では不活性化ワクチンが用いられており、これはあまり副作用を示さないためです。