腎静脈血栓症

症状

成人ではこれといった症状を感じられないケースが多いとされ、これは慢性であることに由来し、緩やかに病状が進行していきます。そのため腎静脈血栓症(じんどうみゃくけっせんしょう)であることに気づかないで一定期間経過してしまう場合が多いとされます。急性のものでは初期症状として腰及び背部の肋骨下部において痛みが感じられ、それと共に尿量減少、浮腫み、発熱、タンパク質や血液が尿中に出るといった症状を示します。これらは大人において一部分にしか見られませんが、小児ではその大半が急性とされています。

原因

大人では、ネフローゼ症候群など他の腎臓病の発生に起因して腎静脈血栓症を引き起こすケースが多いと言われています。また、少ないケースでは遊走性血栓性静脈炎に起因するものがあり、これは体中の静脈において血栓が現れる症状です。その他、外傷及び妊娠を防ぐ薬の利用によるものや腎臓に発生した腫瘍又は癌によって発生する場合もあります。尚、ネフローゼ症候群は尿中に多量のタンパク質が出てしまう症状のことを言います。

治療法

極力早めに治療に着手し、抗凝固薬を利用します。この薬は血栓の増大を阻害する働きがあるとされていて、腎静脈だけでなく他の臓器の血栓発生に対しても役立つとされています。この病気そのものによる死亡例は少なく、多くは元となる病気や合併症である肺塞栓症などが原因となっています。腎臓への障害の度合い、合併症の有無、血栓症の原因などによって予後は異なります。腎臓機能へは血流の改善の度合い、障害を受けた腎臓がどちらか一方或いは両方なのかといったことが影響します。治療法は、抗凝固薬の利用が主軸で、これによって肺塞栓の発症率を低下させ、血栓が発生するのを予防します。また血栓溶解薬の利用や手術を行って腎動脈に発生した血栓を除去するといった方法が採用されるケースもあります。合併症で高血圧症などが見られる場合では、稀に腎臓摘出の手術を行うこともありえます。