異所性ACTH産生腫瘍

症状

高血圧、耐糖能異常、筋力低下、低カリウム性アルカローシスといった代謝及び電解質異常、浮腫などが示され、中でも低カリウム血症においては高い確率で出現する傾向にあります。通常、異所性ACTH産生腫瘍のなりゆきは速いため、クッシング症候群様の症状である満月様顔貌や胴体部の肥満といったものを示すことはあまり見られません。

原因

副腎皮質刺激ホルモンが下垂体を除く他の組織から生成され、そして分泌される病態を言います。多くはAPUDomaであり、内凡そ半分は肺癌とされ、胸腺腫瘍、膵臓ランゲルハンス島癌、カルチノイド、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫の順になります。また肺癌では多くが燕麦小細胞癌であり、胸腺腫瘍では悪性上皮性胸腺腫となります。ただし、APUDomaを除く肺扁平上皮癌、大細胞未分化癌、腺癌といったものにも異所性ACTH産生腫瘍が認められることが少ないケースで存在します。尚、異所性ACTH産生腫瘍は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の生成及びその分泌が抑えられるのに対し、異所性CRH産生腫瘍では過形成が下垂体ACTH細胞において出現します。

治療法

原則として基礎疾患の治療が中心となります。酢酸オクトレオチドを用いた薬物療法や肝転移巣への腫瘍塞栓術などは進行性の症例で実施されます。放射線療法や化学療法は肺小細胞癌で適用され、またトリロスタンやミトタン、メチラポンといった副腎ステロイド合成阻害薬は対症療法として副腎皮質機能亢進症に適用されます。これは治療を実施する前、若しくは治療最中において全身症状を軽快させる目的で利用されます。その他、カルチノイドにおいては外科的治療である腫瘍摘出によって治癒へ誘導することも不可能ではないとされます。