症状
動悸、発汗、神経質、体重減少、呼吸困難、排便頻度の上昇、月経が少なくなる、暑さへの耐性が弱まるなど甲状腺中毒症の症状を示します。また、注意力の低下や物忘れ、精神状態の不安定などを見ることもあります。バセドウ病では眼球突出や頻脈、瀰漫性甲状腺腫などが出現します。更に、手指における振戦や皮膚浸潤なども高い確率で見られます。その他、正常甲状腺機能眼球突出は甲状腺機能には異常が認められず、眼球突出のみを出現させる病態を言います。また高齢者になると眼球突出は示されにくく、食欲不振やそれに伴う衰弱、筋脱力などが表に出やすくなります。尚、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は甲状腺中毒症を出現する病態のことを言います。
原因
過剰な甲状腺ホルモン分泌から幾つかの病気を出現させます。バセドウ病及びグレーブス病がよく知られており、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、プランマー病、ヨードバセドウ、トロホブラスト腫瘍、外因性甲状腺機能亢進、異所性甲状腺なども甲状腺中毒症を呈する病気となります。中でもバセドウ病は中年以降の女性に多く見られ、甲状腺の働きが出産後に変化しバセドウ病を生じることがあります。一卵性双生児の方が二卵性双生児より発病率が高いことなど、遺伝的要因が関与しているものと考えられています。甲状腺ホルモンの合成及び分泌が亢進しており、甲状腺そのものが調整できない状態に置かれています。これは免疫グロブリンによって甲状腺を刺激しているためで、その存在が基礎になる臓器特異的自己免疫疾患となります。
治療法
外科療法では内視鏡下で甲状腺亜全摘除術が実施されます。これは抗甲状腺剤を適用すべきではないケース、且つ若年層を対象に行われます。その他、β遮断薬や抗甲状腺薬、ステロイド薬などの投与による治療方法や放射線ヨード療法、眼球突出への放射線照射などによる治療法もあります。