亜急性甲状腺炎

症状

熱の上昇や寝汗、疲労感などを出現させます。また甲状腺の腫脹と共に強い圧痛及び自発痛、嚥下痛を生じます。耳若しくは顎の方に痛みが拡大しやすく、嚥下によって強まります。更に甲状腺に痛みを随伴させる硬結が見られ、これが日を置いて移動するケースがあります。その他、甲状腺ホルモンが、甲状腺破壊から血液内に流入することにより、中等度以下の甲状腺中毒症状を呈し、発汗や動悸、振戦が見られることもあります。多くは数週間程度で中毒症状は治まりますが、永久的な機能低下を引き起こす症例も見られます。

原因

起炎ウイルスは特定されるに至ってませんが、流行性耳下腺炎ウイルスといったものとの関与が指摘されています。甲状腺の炎症はウイルス感染が原因と考えられており、甲状腺腫大に伴って圧痛を招きます。上気道感染の先行が多くのケースで見られ、発症時期に季節性が関与するものと思われています。亜急性甲状腺炎(あきゅうせいこうじょうせんえん)は男性より女性に多く見られ、発症年齢は中年前後となります。甲状腺炎には急性のものと亜急性のもの、慢性のものがありますが、それぞれ互い移行することはなく、いずれも別の病気となります。

治療法

副腎皮質ステロイドの投与による治療方法がとられます。抗炎症薬であるアスピリンといったものが用いられることもありますが、ブレドニゾロンなどのステロイドを用いることで甲状腺に生じた痛みや熱が改善されます。ただし、症状が乏しく軽いものであれば、経過観察のみとなるか、非ステロイド性の消炎鎮痛薬が用いられます。副腎皮質ステロイドは強い効果をしましますが、その使用量を早くに中止すると再燃するケースがあります。