症状
上気道炎に続発した甲状腺の腫脹が見られます。これによって高度の疼痛及び圧痛を招きます。腫脹した個所は赤くはれ上がり熱を持ちますが、多くは左側が罹患個所となります。また全身症状として嚥下障害及び熱の上昇なども随伴させるケースが多いと言われています。尚、初期段階では硬くなっていますが、膿瘍形成に伴って波動が示されます。診断では吸引細胞診が実施され、原因菌を内溶液から特定するため、グラム染色及び細胞培養が行われます。また炎症が引いた後、X線検査にて下咽頭梨状窩瘻が確認されます。
原因
細菌感染を引き起こしにくい臓器の一つである甲状腺ですが、下咽頭梨状窩瘻を残した方に少ないケースで認められます。急性化膿性甲状腺炎(きゅうせいかのうせいこうじょうせんえん)は甲状腺に細菌感染を招くことで引き起こされる急性の炎症を言います。多くは小児及び若者層にて発症します。下咽頭梨状窩瘻は下咽頭及び甲状腺を結合する先天性内瘻ですが、これを経由して甲状腺に細菌感染が広がります。黄色ブドウ球菌をはじめ、化膿性連鎖球菌、肺炎球菌などが原因菌となります。
治療法
原因菌を特定するまでは、可能性の高いと思われる起炎菌に対する抗生物質が適用されます。同定した場合、原因菌に有効とされる抗生物質が投与されます。また急性期を超えてから瘻管切除術が実施されますが、これは本疾患を根治するのに下咽頭梨状窩瘻管を取り除く必要があるためです。その他、膿瘍が発生しているケースでは切開して膿を除去します。