糖尿病性動脈硬化症

症状

冠動脈疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症などを特徴とします。冠動脈疾患では痛みを生じない心筋梗塞が見られます。脳血管障害でも特に症状を示さないケースが多く、多発します。これには穿通枝小梗塞であるラクナ梗塞や中動脈或は小動脈における梗塞が該当します。閉塞性動脈硬化症では症状を出現させないうちに潰瘍化や壊疽を生じることがあります。また自律神経障害を合併したケースでは動静脈シャントを間において末梢部に虚血を招きます。更に感染に対する耐性を有さないため、重症化に陥りやすい傾向にあります。以上のことから特に症状を示さない動脈硬化性疾患が多々見られるため、検査を要します。検査では脂質異常及び負荷心電図異常が認められ、API低下、内膜中膜複合体肥厚が示されます。その他頭部のMRIやCTも合わせて実施されます。尚、糖尿病はメンケベルグ型動脈硬化症を招くことが多々見られ、その際、API低下を示さないこともあります。そのため、診断に注意を要し、合わせて下肢血行障害を招く病気との識別も要します。

原因

通常、糖尿病に罹患すると糖尿病性動脈硬化症(とうにょうびょうせいどうみゃくこうかしょう)の発病率が数倍にふくらみ、女性及び男性共に大差なく、若年層でも発症します。またインスリン抵抗性を持つケースではマルチプルリスクファクター症候群を示すことがあります。これは幾つか動脈硬化を発症させる因子が共存している症候群です。

治療法

動脈硬化症の治療に準じます。また低温火傷や外傷などを避けることで壊疽を防ぐことが大切です。その他、根底に自律神経障害及び血栓形成比率が高度であることにも注意を払います。