症状
浸潤性且つ扁平隆起性局面を呈し、痂皮や鱗屑が覆っています。形状は楕円形ないし円形をしており、紅褐色ないし褐色の色調を呈します。老齢者に単発する傾向にあり、肉芽腫及び小結節を出現させることもあります。表面に見られる痂皮や鱗屑が剥がれると紅色調の糜爛が見られます。
原因
多発性と単発性に分類され、前者は砒素との関与が指摘されています。そのため、砒素に関わる砒素駆梅療法や慢性膿薬中毒、集団砒素中毒など、その摂取既往が診断の際に聴取されます。単発性のボーエン病(Bowen病)はヒトパピローマウイルスや太陽の光などが影響していると言われていますが、これは露出個所に見られるためです。しかし、多くの場合、ハッキリとした原因は分かっていません。表皮内に多核の異常角化細胞、個細胞角化、不全角化、角質増殖が見られ、いずれの異型細胞も表皮において全層性に増殖を呈します。本疾患は、表皮内有棘細胞癌に該当する病変となります。
治療法
原則、外科的な切除による治療方法が最初に選択されます。また、凍結療法が行われたり、5-FUやブレオマイシンといった抗腫瘍薬軟膏を外用で使われることもあります。無治療だと、有棘細胞癌に進展し、その際、基底膜を突き破ります。更にリンパ節への転移を見ることもあります。確定診断は生検によって行われ、鑑別を要する疾患では、基底細胞癌や慢性湿疹、光線角化症、乾癬、ページェット病などがあります。