エーラス・ダンロス症候群

症状

エーラス・ダンロス症候群(英:Ehlers-Danlos syndrome/エーラース・ダンロス或いはエーレルス・ダンロー症候群とも)は、皮膚脆弱・多関節弛緩・血管・関節可動性亢進・後側彎(こうそくわん)・古典型の6タイプに分けられます。これらは出現した症状による分類方法となります。例えば皮膚に症状が現れると、肌を引っ張った際、通常より極端に伸長し、離すと元に戻ります。また、肌が脆くなることから打撲や摩擦などで簡単に肌が裂けやすくなります。そして受けた傷も治り難くなります。見た目の皮膚に異常は見られませんが、過剰に伸展する性質があり、外部からの力が加わったり、外傷に起因して簡単に肌が損傷します。羊皮紙様瘢痕を残存させますが、これは治癒が遅いためです。悪化していくと、外部から強い負荷を受ける踵などで塊状の腫瘤が発生します。これは結合組織が裂けた個所に皮下脂肪が侵入するためです。関節だと、異常に柔らかくなり、指趾、膝、肘が百八十度を超えて外反するなど異常を示します。また、脱臼や変形、捻挫を招きやすくもなります。このため歩行障害が見られたり、先天性股関節脱臼などを引き起こしやすくなります。血管型エーラス・ダンロス症候群でも組織が脆くなり、アザを形成しやすくなります。また、心奇形、皮下出血、弁膜障害、眼底出血などを見ることもあります。特に血管タイプでは、内臓や血管の破裂、大動脈瘤解離などを引き起こすことがあります。エーラス・ダンロスでは他にも心臓弁の異常や立ちくらみ、気胸、ヘルニア、脊椎後湾症、偏平足などが見られることもあります。また、近乱視が生じた場合、高度であり、水晶体偏位なども見られます。以下は現在のところエーラス・ダンロスを臨床症状から診断がつけられるタイプで、それぞれ二つ以上に該当すれば可能性を疑われます。また、確定診断には遺伝子解析かコラーゲンに関する線維芽細胞の検査が条件となります。

古典型エーラス・ダンロス症候群

①皮膚の極端な伸縮。
②瘢痕形成。
③関節過可動性。

血管型エーラス・ダンロス症候群

①肌が極端に脆い。
②皮膚層が薄く、透けて見える。
③内臓の脆さ。
④鳥様顔貌。(例えば突出した眼球や尖った鼻)

原因

エーラス・ダンロス症候群では、コラーゲン生成や代謝に関わる遺伝子異常が原因であり、この遺伝子が結合組織の形成を妨害します。具体的に古典型ではⅴ型コラーゲンが原因遺伝子となります。血管型ではⅢ型コラーゲン、後側彎型ではプロコラーゲンリジン水酸化酵素、関節弛緩型ではⅠ型コラーゲン、皮膚脆弱型ではADAMTS2が原因となります。いずれも変異が同定されており、生化学的異常、原因遺伝子、臨床症状、遺伝形式などにより詳細に区分されています。多彩な遺伝形式をとりますが、多くは常染色体優性遺伝となります。エーラス・ダンロスはかつてあまり見られませんでしたが、近年ではその基準や分類方法などが確立しつつあるため、発見されるケースが多くなっているようです。本症は、肌が異常に伸長したり、組織の脆弱化、異常なほど関節の柔軟性を示す、結合組織の病気です。コラーゲン遺伝子異常とコラーゲン修飾酵素異常が原因と言われています

治療法

血管型エーラス・ダンロス症候群では、血管や内臓破裂の予防とその治療が大切になります。またこのタイプでは体への負担が懸念されるため、極力検査や手術を回避します。血管型エーラス・ダンロス以外の予後は良好と考えられています。その他、合併症も多く散見されますが、本症で死に至ることは稀です。また、エーラス・ダンロスは基本的に対症療法となり、抜本的な治療方法は知られていません。尚、妊婦や出産の際にエーラス・ダンロス症候群を患っていると、大出血を招いたり、子宮破裂を生じるケースが考えられます。