急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群

症状

発熱、血管炎、皮膚粘膜病変が急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(きゅうせいねつせいひふねんまくりんぱせつしょうこうぐん)の主な特徴です。本疾患では熱の上昇が二週間弱継続し、冠動脈瘤を招き易く、急性頚部リンパ節腫脹、両側眼球結膜充血を見ます。口腔咽頭粘膜びまん性発赤及び口唇の乾燥、亀裂、発赤、苺状舌が高率で認められます。急性期においては手足の硬性浮腫、手掌足底及び指趾紅斑を生じ、回復期には膜様落屑を形成します。浮腫が消失すると同時に皺が見られ、六十日弱で爪の横溝を認めます。また顔や四肢及び体幹においては麻疹、蕁麻疹、多形紅斑、風疹様の不定形な発疹を認め、地図状を形成することがあります。これらが主な病状となりますが、心障害が急性期に見られ、冠動脈炎や心膜炎、心筋炎などを発現させます。その他、麻痺性イレウスや胆嚢肥大、下痢、腹痛、軽い黄疸、嘔吐などの消化器症状、鼻汁、蛋白尿、咳、そして意識障害や顔面神経麻痺、痙攣、四肢麻痺を見ることもあります。

原因

ウイルスや溶血性連鎖球菌、ブドウ球菌との関係が指摘されています。原因はハッキリ分かっていませんが、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群は全身性の血管炎となります。本疾患は膠原病と感染症の真ん中に位置するとの見解があります。

治療法

抗血小板療法、γ-グロブリン点滴、アスピリンなどを組み合わせて治療します。また抗血栓療法を施すこともありますが、これは冠動脈瘤を残存させた症例に対して適応です。予後は良好で、冠動脈瘤は一年程度で大半治ります。心障害の後遺症を残す症例もありますが、生命予後も良好とされます。